さあ11月!
今年も残り2ヶ月です。
やっぱり秋が短かった…
そして「秋晴れ」と言う言葉虚しく、雨が多かったこの秋。
観測史上最も雨が多かった10月となりました。
なんと、梅雨の時期よりも雨が多かったみたいです。
11月はもう少し秋を楽しみたいものです…
個人的には「抜けるような澄んだ青空」が気に入っているんですが、今年の秋は如何せん、先述の通り雨が多くて、気持ちのいい青空はまだ拝めていません…
さあ、11月は抜けるような青空を楽しめるんでしょうか!
ところで…
「秋の空は高い」とよく言われますよね。
「天高く馬肥ゆる秋」という言葉もあって、日本人の季節感の中で「高い空=秋」
というイメージはとても強いです。
海外ではわからんですけど…
でも、ちょっと疑問に思いませんか?
なぜ秋は空が高く、澄み渡たった抜けるような青空になるのでしょう?
夏に比べて湿度が下がり乾燥してくるからでしょうか?
でも、空気が乾燥して澄みわたるのはむしろ冬ですよね。
じゃあ、空が高く見えるのは冬でもいいはずじゃぁあ〜りませんか?
なのに、なぜ「秋」ばかりが強調されるのでしょう…?
実はそこには、単なる湿度の違い以上の「意外な理由」が隠れていました!
今回は「秋の空はなぜ高く感じるのか!」という、日常において、全くメリットのない、壮大な謎解きを掘り下げます!
まずは一つ目のキーワード!「雲」です。
・雲の高さが違うんです。
秋の空を特徴づけるのは「うろこ雲」「いわし雲」「すじ雲」などの高層雲。
これらは5000〜10000メートルという上空にでき、空全体に広がります。
高い位置に、雲が広がっていると「高さ」と「奥行き」を感じるんですね!
これが実際に高く見える一番大きな理由です!
一方で冬の雲はどうでしょう?
冬の雲は「雪雲」や「層雲」といった低い雲が多く、空を覆い尽くすことがしばしば。
*層雲(地表近くの最も低い場所に現れる、灰色で霧のような層状の雲)
この状態だと、空が「のしかかっている」ように感じられ、いくら澄んでいても「高い」とは思いづらいんです。
そして、夏の入道雲も、地平線近くの低い位置まで覆うので、高さを感じづらいんですね。
つまり「秋の空が高い」と感じる大きな一因は、雲そのものが高いところにできやすい季節だからなのです。
さて次のキーワードは「青の質」です。
・空の青の質が違うんです。
秋は湿度が下がりつつも完全に乾燥しきってはいません。
そのため空気が光を適度に散乱させ、濃い青色が強調されるんですね。
湿度が高く空気中の水蒸気が多いと、赤や黄色といった波長の長い光も散乱して青が白っぽく、どちらかというと水色に見えます。
ですが、秋になると空気中の水蒸気がへり、波長の短い青が強調されて「濃い青」に見えるというわけです。
そして、濃い青は視覚的には奥行きを強調するので、「空が高い」と錯覚させるんですね。
さらに、雲の白色とのコントラストがカチッと強調されるのも、奥行きを強調する後押しになってます。
実はこの水蒸気の減り具合が絶妙なんです。
冬になると、乾燥が極端になりすぎて、透明度は抜群になるんですが、逆に青が抜けすぎて淡く見えることが多くなります。
青さは感じても、心理的には「冷たい」「突き刺さる」印象になりがちなので「高さ」とは結びつきにくいそうなんです。
まあ、冬でも条件次第で濃い綺麗な青空になることもありますけどね。
ということで、同じ青でも質が違うは
・秋の青は奥行き
・冬の青は冷たさ
ということです!
さて3つ目のキーワードは太陽の位置です。
・太陽の位置と光の角度の効果
秋は夏に比べて太陽が低くなります。
そうすると斜めからの光が多くなり、雲やその影がしっかりと大き目に見えるようになりますよね。
そうすると遠近感がわかりやすくなるので、奥行きも捉えやすくなるというわけです。
雲や空気層で光と影のコントラストが強調されて奥行きを与えてくれるんですね。
そのことが、空の「広がり」をより実感しやすくしてくれています。
じゃあ、冬はどうかというと…
冬はさらに太陽が低くなるんですが、光が弱くなるため陰影が少なくなりコントラストはむしろ減少してしまいます。
そうなると全体が白っぽく、平たい感じの印象を受けやすいので、高さや奥行きは感じにくいというわけです。
さて、最後のキーワードは錯覚と心理です。
・視覚的錯覚と心理的効果
ここで意外なポイントが「人間の目と心の錯覚」です。
先述の通り、夏の入道雲は巨大で、地平線から天まで覆うように広がるため空というより、入道雲に目が行きがちで、空が「低く押しつぶされている」ように感じます。
秋になると雲は小さく薄く、ぽつりと浮かぶだけになります。
そうすると、空の余白が広がり、雲よりは空に目が行きますので、同じ空でも「天井が高く」見えるのです。
つまり「雲との対比」が人間の錯覚を生んでいるわけです。
さらに、秋は大気中のチリや水蒸気が減り、遠くの山や建物の輪郭がシャープに見えるようになります。
人間の脳は「遠くがはっきり見える=奥行きがある」と解釈するため、空が「広く高い」と錯覚するんだそうです。
さらに、文化的な影響もちょっとあります。
秋は収穫や実りの季節ですよね。
「天高く馬肥ゆる秋」という言葉は、空の高さと豊かさを結びつけてもいます。
一方、冬は厳しさや寒さが強調される季節なので、空が高くても「厳冬の冷たい空」としてとらえられることが多く、このイメージの差が「秋空=高い」という感覚をさらに強める心理効果につながっているんだそうです。
同じ澄んだ空でも、いいイメージと結びつくことで、ポジティブな言葉として言われ続けるということでしょうかね。
・まとめると、こんな感じです
雲の高さ:秋は高層雲、冬は低層雲が多い、夏は低い入道雲
青さの質:秋は濃い青で奥行きを感じる、冬は淡く冷たい青、夏は薄めの青
光の角度:秋は斜光で奥行きが出やすい、冬は光が弱く平板に見える
心理的効果:文化や錯覚が「秋空=高い」を定着させている
これらが重なり合い、「秋の空が高い」と感じられるんですね。
空気の乾燥という物理的な条件だけで見れば、冬の方がはるかに透明で澄んでいます。
けれど、人の目と心が感じる「空の高さ」は単なる乾燥度合いでは決まらないようです。
雲の種類や色彩の印象、光の差し方、さらには文化的な言葉の影響までもが合わさって、秋の空は特別に「高く」見えるんですね。
秋にふと見上げた空が広く深く感じられるのは、自然現象と人の感覚が重なった結果だったというわけです。
だからこそ「秋の空は高い」という言葉は、今も多くの人の心に響き、そう言われ続けているのかもしれませんね。
以上!
意外と真面目にサイエンスだった。
というお話でした。