はじめに
今回のは「巻き爪」についてデス。
サンダルで、指先が解放されていた季節が終わると、パンプスやブーツが多くなって指先が気になっている方も多いかもしれませんね。
なかには痛みが出ている方もいらっしゃるかもしれません。
自分は「巻き爪」なの? とお悩みの方。
また、自分は「巻き爪」だと思うんだけど矯正が必要なのかどうか迷っている方は、是非読んでみてください。
巻き爪とは
巻き爪の定義
ではまず、「巻き爪」の定義というかどんなものを「巻き爪」と呼ぶか、からご説明していきましょう。
「巻き爪」とは足の爪が横方向に曲がっている状態をいい、主に足の親指に起こることがほとんどです。
爪は通常やや湾曲していますが、ほぼ平らな状態が正しい形です。
それが何らかの原因(主に靴などによる圧迫や歩き方)で大きく彎曲(わんきょく)し、爪溝(そうこう)という爪の両端にある皮膚の溝に食い込んでしまいます。
これが「巻き爪」(彎曲爪)です。
「巻き爪」といわれるものは痛みが伴わないものをそう呼びますが、これに対して炎症や化膿があり、痛みが発生している状態のものを「陥入爪」と呼びます。
また、爪白癬やガンジタ爪により変形をおこしているものもこの類に入ります。
「巻き爪」は先天的にもしくは遺伝的に彎曲していることもありますが、この場合通常の平らな爪よりも「陥入爪」になりやすいため、痛みが無くとも彎曲が大きいケースでは、予防的に矯正をされる方もいらっしゃいます。
特に、爪溝のまわりの皮膚が盛り上がっていて、爪のサイドが隠れるくらいのものはぶつけたりしたときに損傷しやすく、「陥入爪」になりやすいので気をつけましょう。
「陥入爪」は先述したように何らかの外的・内的要因により痛みや変形が発生している状態ですので、先天性や遺伝性はほとんど無いというのが現在の医学界での見解のようです。
炎症がひどい場合や傷つけて化膿してしまっているような場合は、まず外科的な処置が必要です。傷ついた部分を治してからケアをおこなうようにしましょう。
まとめてみると
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- 「巻き爪」
・彎曲している状態
・痛みや変形がないもの
・先天性、遺伝性がある
・疾患がないもの
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- 「陥入爪」
・痛みがあるもの
・変形(圧迫や菌)があるもの
・後天性のもの
となりますが、例外や個人差もありますのであくまでも目安とお考え下さい。
「陥入爪」の場合は程度にもよりますが、何らかの処置を施した方がよいでしょう。
痛みをかばって、歩いたり、立ったりしていると思わぬ所に負担がかかり、関節や筋肉を痛めてしまう可能性が大きいからです。
特に、腰やヒザは痛めやすいですね。
「巻き爪」と思われる場合は、急いでケアをしなくてはならないということはないですが、「陥入爪」になりやすいことだけは自覚しておきましょう。
予防的にケアをしたり、先の細い靴やヒールの高い靴は普段から控えめにする、といったことを心がけると良いと思います。
巻き爪の原因
ここでのお話は、後天的に「巻き爪・陥入爪」になってしまう「原因」です。
ただし、先天的な方もこれらの原因を知っておく事で、悪化させないように対策ができると思いますので、ご参考にどうぞ!
まず、「原因」を分かりやすくまとめてみます。
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- 歩き方
–姿勢(荷重)
–足のスタンス
・(トゥーイン・トゥーアウト)
・(プロネーション・サピネーション)
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- 指まわりの環境
–靴(サイドストレート)
–靴下・ストッキング
- 指の使い方(正しい圧力)
という内容に整理できます。
歩き方 ー姿勢ー
まず「歩き方」の中の「姿勢」からお話していきます。
簡単に言うと、姿勢が崩れる事によって「前後の荷重バランス」が悪くなってつま先に体重がかかりすぎることです。
これは、ハイヒールを履いているときによく起こる状態ですね。
でも実は、このこと自体で「巻き爪」の原因になることは少ないと考えられます。
「タコ」や「魚の目」であれば体重がかかりすぎることで炎症がおき、そこを守るためにできてしまうものなので考えられますが、「巻き爪」は横方向の圧迫が大きな「原因」のひとつなので、「もうひとつきっかけ」が影響してるんです。
足のスタンス
「もうひとつきっかけ」それが、次にあげる「足のスタンス」や「指まわりの環境」なんですね。
では「足のスタンス」とはなんぞや??ということなんですが、これは分かりやすくいうと「内股足」「外股足」ということです。
つまり、つま先が正面に対して内側を向いているか、外側を向いているかしている状態の足ですね。
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- 「内股足」は「トゥーイン」
- 「外股足」は「トゥーアウト」と呼びます。
通常、つま先が正面を向いている足の場合は、歩行のとき地面をまっすぐ蹴ります。
それに対して、つま先が内側か外側になっているまま歩行をしている場合は斜めに地面を蹴ることになります。
これが、「もうひとつのきっかけ」になるんですね。
斜めに蹴りますから、横方向の力が加わってきます、しかも姿勢が悪く体重が前にかかっている場合は、横方向の力はさらに強くかかります。
ハイヒールを履いている場合はまさにその状態ですね。
もうひとつ、「回内(プロネーション)」「回外(サピネーション)」というのがあります。
これは足の裏が地面に対して平行に保たれず、内側に力がかかり足の裏側が外側に回りこむのが「回内」。
外側に力がかかり足の裏側が内側に回りこんでしまう状態が「回外」です。
一般的に「外股足」は「回内」が多くみられ、「内股足」には「回外」が多く見られる傾向があります。
とくに、「外股足」+「回内」のパターンは歩行時だけではなく立っているだけでも親指に負担がかかり、「巻き爪」になりやすいはずです。
これらは、「外反母趾」や「内反小趾」といった症状にも共通するものです。
親指(母趾)の巻き爪の方はだいたい「外反母趾」も併発しているケースが多いのもこの「足のスタンス」のバランスの悪さが影響しています。
つま先はまっすぐ正面を向ける
「つま先」は真っ直ぐ正面を向けるよう心がけましょう!
そのとき、ヒザも併せて正面を向けるようにすると歩きやすく、コツをつかみやすいと思います。
そして、靴のソールは安定しやすいフラットなものが好ましく、できればくるぶしのまわりがしっかりサポートされていて、足首がぐらつかないものがいいでしょう!
「足のスタンス」は普段意識していないと、自分がどんなスタンスなのか結構分からないものです。
「巻き爪」が気になる方は、ご自分のスタンスを意識して、正しい歩行や立ち方ができているかチェックしてみてくださいね!
指まわりの環境
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- 指まわりの環境
–靴(サイドストレート)
–靴下・ストッキング
- 指の使い方(正しい圧力)
指周りの環境は前述の通り、大きく分けるとこのふたつです。
靴
ではまず、「指周りの環境」についてですが、これはなんといっても「靴」が代表的なものでしょう!
ご想像のとおり、女性用の靴は先の細いものが多いですがこれが「爪」対して大きく影響します。
先が細くなればなるほど、窮屈になり横方向の圧迫を大きくしていきますから「巻き爪」によくないことはおわかりだと思います。
そして、これも当然といえば当然ですが、ヒールの高さが高ければ高いほどつま先に荷重がかかり窮屈さが増していきますので、それほど先が細くなくてもヒールが高ければそれだけ「巻き爪」になる確率が高くなります。
そしてそして、ここからはあまり気づいていない方が多いのですが、ヒールも高くない、つま先もそれほど細くない…のに「巻き爪」になる方がいらっしゃいます。
なんで???
これは、結論から言うと「姿勢(荷重)」です。
姿勢の影響
ヒールが高くなくてもつま先に荷重がかかってしまう「前荷重」の「姿勢」がハイヒールを履いているときと同じような負荷をかけてしまっているんですね。
もちろん複合的な要素で「巻き爪」なることも考えられますから、「歩き方(足のスタンス)」も関係してくるでしょうから「姿勢」だけではありませんけどね…
このことがご自分で気づいていないと、靴を選ぶときに『それほど先が細くないから大丈夫』とか『ヒールが低いからこの細さでも大丈夫』とか思って買ってしまい、履いているうちにつま先(巻き爪)が痛くなる。 なんてことになってしまうんですね。
それと、痛くなるからといって余裕のある少し大きめの靴を選ばれる方も多いですが、これは足がしっかりホールドされず前に滑ってしまい、結局、窮屈な靴を履いているのと同じ結果になってしまいます。では、どんな靴が理想的なのでしょうか?
条件を挙げてみます。
理想的な靴の条件
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- 足の甲の部分がしっかりホールドされるもの
- (ひも靴や、マジックテープなどで調整できるものがよいです)
- 足の甲の部分がしっかりホールドされるもの
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- ヒールの高さは3cmまで
- (3cm以上になると体重の実に85%がつま先にかかるという統計データがあります…あくまでも目安ですが 一番いいのはフラットなソール)
- ヒールの高さは3cmまで
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- ソールの部分が衝撃吸収力のあるもの
- (インソールを入れる場合はちょっと大きめの靴で)
- ソールの部分が衝撃吸収力のあるもの
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- そしてなんといっても先の細くないもの!
- (この「先」の部分が大切なのです。先が台形型になっている靴は、細くないように見えて実は、親指の先の方で細くなっているので気をつけましょう!『サイドストレート』といって親指の先端近くまで真っ直ぐなものが一番いいのです。
いわゆる「コンフォートシューズ」や「セラピーシューズ」といわれているものに多いですね。)
- (この「先」の部分が大切なのです。先が台形型になっている靴は、細くないように見えて実は、親指の先の方で細くなっているので気をつけましょう!『サイドストレート』といって親指の先端近くまで真っ直ぐなものが一番いいのです。
- そしてなんといっても先の細くないもの!
この条件をみると、皆さんの嘆きの声が聞こえそうですね〜
そうですね、こんな靴は絶対に「カワイイ」わけがない…ですね。
それは仕方のないことかもしれませんが「痛くて歩くのがつらい」崖っぷち状態になる前に予防することも大切です。
いつか予防を考えるようになったとき、このカワイくない条件を思い出してください。
靴下・ストッキング
「靴下」や「ストッキング」まで関係あるの?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これがしっかり関係あるんですね。
「靴下」は寒い時期どうしても厚みのある暖かいものを履きたくなりますが当然その厚みの分、指先の圧迫を強くします。
これがつま先の細い靴や、ヒールの高い靴といった靴の悪い条件と重なると、「巻き爪」に対して悪い影響を与えてしまいます。
このことは何となくお分かりになりますよね?
では、「ストッキング」なんですけど、これはそんなに厚みのあるものではないのになぜ「原因」になるのでしょうか…
それは、「ストッキング」の「締め付ける強さ」とつま先部分の「縫製」に関係があります。
お分かりだと思いますが「ストッキング」は「靴下」などに比べ締め付ける力が強いですね。
靴を履かずにいるときでもその締め付けられる感じは分かると思います。
これが靴を履いた時、実ははよくないことを引き起こしています。
ヒールが高い靴やつま先に体重がかかっている人は、多少なりとも靴の中でつま先方向へ「すべり」を起こしていますが、このとき、「ストッキング」はすべらずに中の「足」だけがすべっていることがあります。
これが、ストッキングの締め付ける強さを倍増させ、つま先の負担を増してしまっているんですね。
さらに、「ストッキング」はたいていのものがつま先部分の縫製だけ別になっていて、他の部分より丈夫にできているので、締め付ける力が強いんですね。
このことがさらに「巻き爪」にはよくありません。
皆さんの中に、「ストッキング」を履いたときだけ「巻き爪」が痛いという方がいらっしゃったら、このことが原因だと思います。
これを防ぐには、「すべり」を起こさない靴選びと歩き方が必要です。
指の使い方(正しい圧力)
前述した理想的な靴の条件で言えば
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- 足の甲の部分がしっかりホールドされるもの
- ヒールの高さは3cmまで
があてはまります。
あとは、つま先歩きにならないように前後のバランスに気をつけながら歩くことが大切ですね!
さて、ここでは「指の使い方(正しい圧力)」についてです。
普段私たちは、何気なく歩いているので足の「指の役割について」なんてことは考えもしませんよね。
でも実は大切な役割を持っているのです。
それは「爪」と一緒になって私たちの「歩行」を大きく支えてくれているものなんです。
通常の歩行では、「かかと」から地面に着き「つま先」で地面を蹴る。というステップとなります。
もう少し細かく言うと、「かかと→小指側の付け根→親指」という3ステップになります。
これを「あおり運動」と呼んでいますが、このステップでは親指に一番力がかかることになります。
ですから、親指が一番大きくて、骨も筋肉もしっかりしています。
でも、反対に一番負担がかかってしまうということでもあります。
「巻き爪」で一番痛みを発生し易いのがこの「親指」ですからこの指の使い方は一番気をつけなければいけません。
「指」の使い方…??
そうでう、「指」は正しく使わなければ「歩行」が乱れ「巻き爪」の原因になってしまうんです。
どういうことかといいしますと、
メカノレセプター(圧力センサー)
指には「メカノレセプター」という「圧力センサー」みたいな神経があり、常に正しく圧力がかかっているかを見張っていて、姿勢や体の傾きを制御しているんです。(人間の身体ってものすごいもんが仕込まれていますね…)
この「メカノレセプター」は親指に集中して存在しているようで、「圧力」がかかりすぎると、自然とその「圧力」から開放されようとして、「蹴る」のを弱めたり「指先」をかばうように歩いたりしてしまいます。
そして、そのことが「爪」に重大な影響を与えます。
「爪」は指先にかかる「力」を受け止める為に存在していますが、「力」を受け止めずにいると内側に向かって「巻いて」生えるようになってしまいます。
これが、「巻き爪」の原因のひとつになっているんですね。
つまり、「ハイヒール」や「きつい靴」による圧迫などを受けると「メカノレセプター」が働きつま先をかばいます。
そのことで指先は正しく使われずに「圧力不足」となり、爪が巻いてきてしまうというわけです。
「きつい靴」ばかりではなく、「深爪」も指先に食い込んでしまうと「圧力」がかかりすぎていると判断してしまうようです。
そして指先をうまく使えずに、もともとしっかり「蹴れていない」場合も「圧力不足」になって、爪は「巻いて」生えてしまうのです。
皆さんも、ご自分の「指」の使い方を意識してみてください。
「きつい靴」になるような条件を避け、「指」を使って「しっかりまっすぐ」地面を「蹴る」!
これが大事です。
まとめ
いかがでしたでしょうか!
巻き爪にならないために、重要なことがいくつもありましたね。
指先に「圧力センサー」があるなんてびっくりですよね。
巻き爪を防ぐ、歩き方・足のスタンス、前荷重にならないこと、靴をしっかり選ぶこと、どれも大切です。
正しい姿勢や正しい歩行に関しては、他の記事でも書いていますので、そちらも参考にしてください。
とにかく、正しく、真っ直ぐ、しっかり蹴って歩きましょう!