腰痛

腰痛を知ろう! Part1

はじめに

今回は「腰痛」についてです。

「腰痛」は「肩こり」と並び、私たちを大いに悩ませる憂鬱の種ですね。
しかし、ひと口に「腰痛」といってもその原因、症状は様々です。

どんな原因でどのような対処が必要なのかを知っておく事はとても大切な事です。

でも、ネットで調べても難しい言葉がいろいろ出てきてなんかわかりずらいですよね、ここでは、極力解りやすく分類し説明していこうと思います。

まず、「腰痛」の種類にはどんなものがあるか知っておきましょう!

代表的な腰痛のタイプ

解りやすく、ざっと分類するとこんな感じです。

■-筋肉傷めた系
■-関節(骨)傷めた系
■-内臓疾患系
■-女性特有系
■-精神的ストレス系

ちょっと解説すると

筋肉傷めた系

腰痛の中で最も多いのがこれで「筋・筋膜性腰痛症」といいます。
文字通り、筋肉や筋膜が肉離れなどによって損傷・炎症を起こした状態ですね。
「ぎっくり腰」などの原因でもこれが一番多いと思います。

また、硬くなったお尻の筋肉(主に梨状筋りじょうきん)が神経を圧迫して起こる、「坐骨神経痛」の原因にもなります。

関節傷めた系

これはちょっと難しい名称ばかりです。

関節を痛めたものとしてよく耳にするのが

・腰椎椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)
・腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
・腰椎すべり症(ようついすべりしょう)
・腰椎分離症(ようついぶんりしょう)
・椎間関節症(ついかんかんせつしょう)
・脊椎圧迫骨折(せきちゅうあっぱくこっせつ)
・脊椎腫瘍(せきちゅうしゅよう)
・骨粗しょう症(こつそしょうしょう)

などがあります。

これらは、「腰痛」の原因として我々はよく聞くものですが、おそらく皆さんの中には「椎間板ヘルニア」くらいしか知らないという方も多いと思います。
当然、知っていた方が良いことはよいのですが「それは無理!」ですよね。

でも仮に、激しい腰痛になり病院にいってレントゲンやCTMRIなどで検査をした場合この関節傷めた系は異常が認められるケースがほとんどですから治療や対処方法ははっきりしています。

予防によって防げるものもありますから、そちらの方が大切です。
これについては、また後ほど

内臓疾患系

筋肉や関節を痛めた腰痛と思って誤った処置をしてしまうと、進行してしまう恐れのある内臓疾患系の腰痛。

そうならないためにも以下のような特徴的な症状が続く場合はとりわけ注意が必要です。

症状の特徴としては次のような症状があります。

・安静時にも痛みがある
・動きに関係なく痛む
・だんだん症状が強くなる
・冷や汗や発熱がある
・排尿、排便で異常を感じる
・痛みで目が覚めてしまう
・背中にも痛みがある

と、穏やかではない症状ですねこれらを感じたら

    • 泌尿器系では
        • 腎結石、尿管結石、膀胱炎、腫瘍
    • 生殖器系では
        • 子宮内膜症、子宮筋腫、子宮外妊娠、前立腺肥大、腫瘍
    • 循環器系では
        • 腹部大動脈瘤、血管の閉塞
    • 消化器系では
        • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、下痢、便秘、肝硬変、腫瘍
    • 内分泌系では
        • 膵炎、膵腫瘍

などが考えられますので、医療機関で検査を受けることをお勧めします。

女性特有系

女性には「生理・妊娠・出産」といった女性特有の身体的変化があり、そのことで腰痛を伴うケースがあります。
また、女性を取り巻く環境は腰痛につながることがたくさんあります。

特に「働くお母さん」は大変なようです。

・生理による腰痛
・妊娠による腰痛
・出産による腰痛
・子育てによる腰痛
・ハイヒールによる腰痛
・冷えによる腰痛
・更年期障害による腰痛

と思い当たる方もたくさんいると思います。
この記事を読まれている方は女性がほとんどでしょうから、いちばんフォーカスされるべき「腰痛」かもしれませんね。

これらについても追々説明していきます。

精神的ストレス系

現代社会はストレスだらけです。

仕事の環境によってもストレスが発生することでしょう。
不規則な生活を繰り返すこともストレスのひとつです。

現代医学において最近わかってきたことで、精神的ストレスを受けると「自律神経」の働きが乱れて、筋肉の緊張が発生し血行を妨げて「腰痛」を引き起こす原因になるようです。

とまぁ、分類してみましたがいかがでしょうか?

もちろんここに書かれていることがすべてではないですが、まずは知っておいていただきたい「腰痛」に関する内容です。

深掘り 「筋肉傷めた系」の腰痛

「筋肉傷めた系」の腰痛について少し深掘りしてお話したいと思います。

筋肉を傷めて起こす腰痛は「腰痛」の中でも一番多いといわれています。
皆さんご存知の「ぎっくり腰」はその代表的なものです。

でも実は「ぎっくり腰」は俗称で正式な傷病名ではありません。

正式には「筋・筋膜性腰痛症」もしくは「腰椎捻挫」とか「腰部挫傷」といいます。

そのほとんどがレントゲンを撮っても異常が見られません。

いったいどこの筋肉を傷めるのでしょうか?そしてなぜ傷めてしまうのでしょうか?

傷めてしまう筋肉の名称を知ったところであまり役に立たないかもしれませんが、一応書いておきます。

  • 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)

いわゆる「背筋」と呼んでいる筋肉でいくつもの筋肉が集まった「筋肉群」です。
身体の中でも大きい部類の筋肉です。

  • 広背筋(こうはいきん)

わきの下から骨盤辺りまで三角に広がる割と広い範囲にある筋肉。

  • 腰方形筋(ようほうけいきん)

肋骨の一番下から骨盤をつるようにある筋肉。

などが傷めてしまう主な筋肉です。

それより何故傷めてしまうかが問題ですね!そうですね!

いろいろ調べてみても「なぜか?」という原因については、「重いものを急に持ち上げたり」とか「急に立ち上がろうとしたり」とかは書いてありますけど、それは「きっかけ」にすぎません。

過負荷に耐えられないのは?

どういうことかといいますと、この手の腰痛は「筋肉へかかる負荷に筋肉が耐えられなくなって起こる」ものだからです。

「重いものを持ったり」は負担がかかって限界ギリギリの筋肉に「ダメ押しをしてしまった」と、いう事なんですね。

この負担をかけるものとしては「姿勢」が一番大きい原因と考えられます。
たとえば、右足に体重かけるクセがある人は右の腰に負担がかかります。

これは、右足に体重をかけると右側の骨盤が上がるので、左に傾きますね?
そして、無意識のうちに右に上体を傾けてバランスをとろうとします。

このときに、右側の腰の筋肉に負担がかかってしまうのです。

これが日常的にクセになってしまっていれば、当然右側の筋肉は過負荷の状態です。
このとき筋肉は緊張しすぎてあまり収縮できない状態にありますから、「重いものを急に持ち上げたり」して力が加わると、筋肉は限界を超えてしまい「炎症」や「損傷」がおこるわけですね。

古く硬くなったゴムを無理に引っ張ると切れてしまうようにです。

これが、「筋肉傷めた系の腰痛」の原因とメカニズムといったところです。
今あげた例はわかりやすいように「急性の腰痛」を例えましたが、慢性的に重くつらい「筋肉傷めた系の腰痛」も程度の差こそあれ同じなんですね。

「私は大丈夫」と思っている方も気をつけなければなりません。

腰は鈍感

サロンに来られるお客様に多いのは、「腰はつらくないのですが首・肩のコリがつらいです」という方ですが、そういった方はほとんど「腰」もこっています。

「腰」はコリに鈍感な場合が多いようです。

でも、「首・肩」がつらければ「腰」にもコリがあると考えた方がよいでしょう。

コップに水が溜まってあふれるように、「腰」に溜まった疲労があふれ、筋肉の限界を超えてしまうかもしれません。
溜まっている過程では気がつかなくても、いつあふれてもおかしくないという危険性をはらんでいます。

「急性」にせよ「慢性」にせよ要は普段から「姿勢」に気をつけて長時間同じ姿勢をとらず、一箇所に負担がかからないように心がけることが大切です!

腰痛になったら

もし、急に「腰痛」になってしまったら

「きっかけ」がはっきりしていて急に痛くなった場合は「炎症」が考えられます。
安静にしてなるべく負担がかからないようにしながら冷やしてください。(冷やしすぎには注意です)

軽いもので1日、ひどいものでも2~3日安静にしていれば「炎症」はひいて楽になりますから、それから温めて血行を良くするようにしましょう。

マッサージなどはこの時期からがいいと思います。

慢性的な腰痛は、やはり普段の姿勢に問題がありそうですから前述したように長時間にわたって同じ姿勢を取らないように気をつけ
 「体重をかける足(軸足)」はいつも同じではないか?
 「足を組む」「バックを同じ側の手で持つ」などの癖はないか?
とまずは癖を見つけ、それらを直していきましょう。

また、「骨盤」をはさんで前側の筋肉(大腰筋)と後ろ側の筋肉(脊柱起立筋・広背筋・腰方形筋これらが傷め易い筋肉ですね)のバランスが悪くなっている事も考えられます。

これは、「大腰筋」が硬く収縮した状態にある場合、腰を伸ばすときに後ろ側の筋肉が「大腰筋」の分まで頑張らなくては腰が伸びないので、負担がかかって傷めてしまうというものです。

「腰痛」はこの「大腰筋」の収縮も併発している事が多いので、「大腰筋」に効くストレッチ(太ももを胸に引き寄せるようにするストレッチやアキレス腱体操の姿勢で腰を深く落とすストレッチ)を盛り込んだ腰周りのストレッチを心がけるようにしましょう!ネ

深掘り 関節(骨)傷めた系の腰痛

代表的なもの

「関節(骨)傷めた系」の腰痛といってもピンと来ないでしょうから、まずそれらの代表的なものの名称をあげてみます。よく耳にするものもありますから、イメージし易すくなるかもしれませんね。

  • 椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)

椎間板は背骨のひとつひとつの小さい骨(錐体)をつないでいる軟骨のようなもので、その椎間板はさらに「髄核(ずいかく)」「線維輪(せんいりん)」でできています。
乱暴ですが、「大福もち」のような感じで「あんこが髄核」で「もちが線維輪」とでも言いましょうか
この椎間板内の「髄核」がとび出し「神経根(しんけいこん)」と呼ばれる太い神経や「脊髄(せきずい)」を圧迫している状態がヘルニアです。
椎間板の加齢に伴う変性や荷重負荷などが要因でなると考えられています

  • 椎間板症(ついかんばん症)

椎間板は背骨の骨と骨の間にあってクッションの役目をしています。
激しい運動や加齢により水分を失い、軽度に変形したり変性している状態で、弾力を失いクッションの役割が弱くなった椎間板が原因でその周りに痛みが発生します。
この症状が悪化すると「椎間板ヘルニア」になります。

  • 分離症(ぶんり症)

多くは腰の骨の下のほう(第5腰椎)でおこります。
小児期、激しい運動などにより、腰の骨をつなぐ関節の一部が疲労骨折をおこし分離してしまいます。
腰痛を起こすこともありますが、症状がない場合もあります。
また、大人になって老化現象が加わって腰痛や、坐骨神経痛になることもあり、症状が進むと「すべり症」になることが知られています。

  • 分離すべり症(ぶんりすべり症)

分離症が悪化して、分離している腰の骨の部分がすべるように前後にずれてしまい、連結がなくなって不安定になってしまいます。
そのことで、周りの靭帯や筋肉に負担をかけ場合によっては神経圧迫を起こして、痛みが出ます。

  • 変形性脊椎症(へんけいせいせきつい症)

身体の老化に伴って、椎間板の水分が減ってしまうと弾力がなくなり、骨に力が加わり負担がかかります。
そうなると負担がかかっている部分に「骨棘(こっきょく)」というトゲのようなものができてしまい、神経を刺激して痛みが出ます。
ただし、変形しても必ず痛みが出るわけではなく疲労が続いたり、負荷がかかると症状が出たりします。
女性の場合、閉経後は「骨粗鬆症(こつそしょう症)」を併発することも多く、男性では下肢のしびれを伴うことも多く、その場合「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさく症)」という病名に変わります。

  • 骨粗鬆症(こつそしょう症)

骨の再生サイクルのバランスが崩れ、再生が追いつかなくなると強度が弱くなり、もろくなった背骨が圧迫骨折でつぶれてしまいます。
もともと骨量の少ない女性に多く、特に閉経後は急激に骨量が減るので60歳から以降は骨折をしやすい状態に陥りやすいそうです。

  • 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさく症)

背骨の中央部分には「脊柱管(せきちゅうかん)」というパイプのようなものがあり、中には「脊髄(せきずい)」「馬尾神経(ばびしんけい)」などが収められています。
この「脊柱管」が骨や軟骨、靭帯などの変形によって圧迫され狭くなってしまうと中の神経まで圧迫されて、痛みやしびれなどの症状がでます。
「変形性脊椎症」がひどくなると、「脊柱管狭窄症」となります。

  • 変性側弯症(へんけいせいそくわん症)

変形性脊椎症が原因で、腰の骨が大きく左右に曲がって湾曲してしまう状態です。
多くは「脊柱管狭窄症」を併発し、腰痛や坐骨神経痛などの症状が出ます。
高齢者に多く椎間板や関節の「老化現象」の一種と考えられています。

とまぁ、こんな感じですが少し難しかったでしょうか?

不可抗力的な要因が多い

問題はなぜこれらの「関節(骨)傷めた系」の腰痛がおきてしまうかなんですが、前回の「筋肉傷めた系」の腰痛とは少し事情が違います。
というのは、「スポーツ」や「老化現象」などの不可抗力的な要因が多いからです。

もちろん、「姿勢」の悪さや「運動不足」といったこともありますので、筋肉の強化や、ストレッチなどで関節の動きを良くしておくことはとても大切です。

ただスポーツは部分的な身体の負荷が大きく、連続的に発生することが多いものでどうしても防ぎきれないこともあります。

「分離症」や「すべり症」などは「小児期」の無理な運動が原因になっているケースも多いといいます。

では、子供のころはスポーツをさせないほうがいいかというと、それも違う気がします。
要は、「準備運動と整理体操」と普段のトレーニングの中で「筋肉強化」を心がけることで負荷に負けない身体作りをする。
ということが必要ということです!

これは加齢とともに老化する「軟骨」や「靭帯」へのケアを考える上でも有効です。
「筋肉」も確かに老化しますが、適度に強化してあげることで「関節」の動きをサポートしてあげることができます。

これらの「関節(骨)傷めた系」の場合は、レントゲンやMRIなどの検査に結果が出やすいものです。

腰痛がでたらまずは安静ですが、長びいたり「おかしいな?」と思ったら、整形外科などで一度診断してもらったほうがいいと思います。
痛いのを我慢して無理して自己判断でストレッチしたり、マッサージしたりするとかえって悪化させかねませんのでお気をつけを!

あと、よけいなお世話かもしれませんが

女性の場合は「無理なダイエット」は「骨粗鬆症」などへの影響が多いので要注意ですょ。

深掘り 内臓疾患系の腰痛

「腰痛」は様々な原因が考えられるために厄介な現代病のひとつでもあります。

原因がはっきりしている、例えば「重い荷物を持ったり」とか「激しい運動やスポーツをしたとき」などに「腰」を痛めれば「筋肉か関節を痛めたのかな?」と、おおよその予測は立ちますよね。

しかし思い当たる節もなく「腰」に痛みや違和感を感じているような場合はちょっと注意が必要です。

原因がはっきりしないのに、「腰」もしくは「背中」に痛みを感じる場合は「内臓の疾患」が関係していることがあります。

例えば「腎臓」ですが、この「腎臓」からつながる神経と「腰」からつながる神経は同じルートを共有しているために「腎臓」の痛みを「腰」の痛みと感じてしまう、いわゆる「関連痛」が引き起こされてしまう場合があります。

これは一例に過ぎませんが、大切な神経は外部の衝撃から守られるように身体の奥深くを通ります。
いろんな神経が同じように守られているわけですから、通るルートも同じようなところに重なることが多くみられます。

また、同じ神経組織を共有するということもありえるわけですね。

極端に言えば、発信源は違っても、ひとつの神経の中を同じような信号が流れれば「脳」も判別できないこともある。
ということですね。

なので、「原因がはっきりしない」「心当たりがない」腰痛はレントゲンやMRIなどを使った診察を受けることがまず優先です。

あくまでもひとつの目安ですが、「内臓疾患系」の腰痛は「姿勢を変えても痛みに変化がない、楽にならない」という特徴が多くみられるということがあります。

「筋肉や関節系」の腰痛は何かしら「楽な姿勢」があるものなので、仰向けになったり横向きになったりしても、状態に変化がなければ「内臓疾患」を疑ってみたほうが良いかもしれませんね。

注)一部、婦人科系疾患や腎疾患によるものは姿勢の変化による痛みの変化がある場合もあります。

ちなみにどんな内臓疾患が疑われるか例を挙げますと

    • 胃・十二指腸潰瘍
    • 胆石症
    • 他肝臓の病気
    • 尿路結石
    • 腎結石
    • 子宮内膜症
    • 子宮外妊娠
    • 子宮がん
    • 血管など循環器系に問題がある場合

などが考えられます。

急激に激しい腰痛を起こした場合は「腹部大動脈瘤」といって命にかかわる疾患の場合もありますので要注意です。

「内臓疾患系」の腰痛の場合痛みの出る箇所にある程度の特徴がありますので疑わしい場合は検診にいきましょう!

・「腰」と「おしり」の付け根ではなく、比較的背中に近い部分の痛み
・「膵臓(すいぞう)」や「腎臓」が原因の場合は、背中をたたくと背中からお腹に抜けるような痛みが感じられる特徴があります。

この「内臓疾患系」の腰痛はマッサージをしても楽にならないことも多いので、それも目安になるかもしれませんね。

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